書籍ビジネスの速度

速度というよりは、単位時間について。
書籍ビジネスには大まかに見て以下の3つのタイムスケールがある。
i)購入のプロセス
従来のAmazonだとO(day)だったが、電子書籍が普及した場合、1page = 1KBとしても100Mbpsの光回線だと0.01ms/pageまたは1ms/bookとなる。実際には画像とフォント等が含まれるがそれでもO(min)には収まるだろう。
ii)消費のプロセス
書籍ビジネスのネックは多分この部分で、中身のない新書や芸人崩れが書いた小説風自伝でも読破するのに1-2時間かかるし、大作と呼ばれる小説や専門書の場合、数十時間かかることも珍しくない。
iii)伝播のプロセス
もう一つ書籍ビジネスの奇妙な点はやたら流行のタイムスケールが長いことである。市井の人々は日常会話の中で本について喋ることはほとんどなく、書籍情報の伝播は非常にゆっくりであり、時に年単位に及ぶ。例えば、「思考の整理学」が2年連続で生協売り上げNo.1というのは無知蒙昧な新入生が買うことを考慮に入れても依然信じられない出来事であって、この書籍情報の伝播の特殊性を仮定しなければ理解できない。

つまりそれぞれのプロセスは全く別のタイムスケールで動いており、これは現象として面白い。気になるのは、電子書籍の普及により(iii)のタイムスケールが大幅に小さくなる可能性があるという点で、この周辺にビジネスチャンスがあると期待できる。