大学生と金の話

私は1989年4月に東京の大学に入った。バブルが頂点に達していた当時、日本経済はこの世の春を謳歌していた。東京の大学生には割のよいアルバイトがそれこそ掃いて捨てるほどあった。当時の大学生のカップルたちは、そうやって稼いだカネで、クリスマスイブは高級レストランで食事をしたり、高級ホテルに泊まったりした。日本経済が歴史的絶頂期にあるときに、経済学を学ぶことができるとは、なんてすばらしいのだろう、と思った。自分の人生が未来に向かって、洋々と開けている気がした。

必要なのは「日本企業」ではなく「日本人を雇ってくれる企業」 Rails で行こう!
http://d.hatena.ne.jp/elm200/20100305/1267798056

バブルの時代について今日では様々な情報があふれているが、どれも当時のビジネスマンに関するものばかりで、大学生がどのような生活を送っていたかについて言及してあるものは少ない。
しかしこれが事実であるなれば、驚愕である。

大学生一人暮らしの食費は1食平均242円
http://workingnews.blog117.fc2.com/blog-entry-2604.html

これが嘘でないことは、自分の周りを見渡せば大体分かる。
学食のライスM(120円)が高いと言い、タッパーに白米をつめて持ってくる学生はよく見かけるし、文化祭の準備で一人一万円ぐらい拠出したらいいんじゃないかと僕が提案したところ、凄まじい批難の嵐を浴びたという経験もある。
親の平均年収が1000万以上だと言われてる大学でこれなんだから、世間はもっと酷いんだろう。

さて、現代の大学生はなんでこんなに貧乏なんだろうか?
一般に大学生の収入は、
収入 = 仕送り + バイト代 + 奨学金 + 定職収入/その他
からなる。
JASSOのデータによれば、下宿して国立大学に通う生徒について、

H18 H16
仕送り 115800 117500
バイト代 24390 23370
奨学金 23325 24000
定職収入/その他 4020 5590
167540 170400

一方支出については、

H18 H16
学費 53200 52000
食費 25000 25900
住居・光熱費 44000 45700
娯楽・嗜好費 12000 12600
その他 13000 15000
147500 151300

JASSO http://www.jasso.go.jp/statistics/index.html

もちろん僕も答えたことあるから分かるけど、こんなの学生が正確に把握しているはずがないので、それぞれ一万円ずつぐらいの誤差はあるだろう。あと、古いデータがなかったのでバブル期からの変化はよく分からなかった。
ググったら一応出て来たけれど、

「私大生・親 ともに悲鳴 平均仕送り額は過去最低」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik09/2009-04-07/2009040714_01_0.html

ソースは赤旗だから信憑性のほどは微妙。

少なくとも上のデータから言えるのは、
1,大学生一人暮らしの食費は確かに1食平均約280円。

2,娯楽・嗜好費は月1万円強しかない。
「若者が離れているもの一覧」で換算すると、

車 0.01台
新書 10冊
缶ビール 一日1.3本
新聞 3ヶ月分
海外旅行 0.1回
映画 7本
CD 5枚

そりゃ離れるだろう。

3,バイト代が少ない。
時給1000円換算でも週6時間労働。働き口がないのか、あるいは働く時間がないのか。

4,支出より収入が多い。
大学生のうちに貯金しても意味ないと思うんだが、そうじゃないんだろうか。

奨学金で遊んで大学卒業したら三回ぐらい引っ越して返済義務を逃ればいいじゃん。」的な軽さが完全に欠如しているのがもしかしたら問題なんじゃないかという気がする。